父は優しい人でした
叱られた記憶がありません
姉が3,4歳の頃 母が自慢にしていた漆塗りの襖に クレヨンで一輪のチューリップの花の絵を描いたそうです
その絵をみて 父は「上手だなぁ」と姉を褒めました
気を良くした姉は 手の届くところ一面にチューリップの花の絵を描きました
その絵を見て母は激怒したようですが それでも父は「上手だ 上手だ」と褒めたということでした
何とかチューリップと分かる絵の描かれた襖は今でも実家にあります
私は父が歳をとってからの娘です
姉から見ても私は可愛がられて育てられたようです
おろしたての洋服を泥だらけにして帰っても 「元気に遊べたなぁ」とやっぱり褒めてもらいました
父の愛車は125ccのバイクでした
小さい頃はよく後ろに乗って 買い物に行ったり医者に行ったりしたものです
高校の入学式も父のバイクの後ろにまたがって行きました
女子高生では さすがに恥ずかしかったのを覚えています
式の帰りにうどんを食べました
お店の人に「お孫さんの入学式に出るなんていいわねぇ、おじいさん」と言われ ニコニコして聞いていた顔が思い出されます
優しい父のDNA
どうやら私は受け継げなかったようです